アール ヌーヴォー・スタイルが流行していた19世紀末、ルイ・カルティエは、18世紀のフランス・ネオクラシック様式を再解釈し、非常に洗練された独自のスタイルを生み出したいと考えました。そして、他に先駆けてプラチナを採用することでこれを実現します。非常にしなやかで、かつ外側からほとんど見えないセッティングを可能にするプラチナによって、一つひとつのダイヤモンドの輝きが際立つ、まさにレースのようなジュエリーが生まれました。これらの眩いジュエリーは、世界中の王室を魅了します。後に「ガーランド スタイル」と名づけられたこの革新的なスタイルが、カルティエの世界進出への足がかりとなったのです。

ストマッカー ブローチ

カルティエ パリ、スペシャルオーダー、1907年

プラチナ、ラウンド オールドカット/ローズカット ダイヤモンド、ペアシェイプ サファイア1個、クッションシェイプ サファイア7個

サファイア：計約51カラット

このストマッカー ブローチ（胸飾り）は、カルティエのガーランド スタイルを示す見事な例の1つです。 胸飾りやティアラといったジュエリーは、流行が過ぎると、宝石を取り外したり、他の物につくり変えられるのが常でした。その意味で、このような大ぶりのジュエリーが、100年以上も完全な状態で残されているのはきわめて稀なことです。

21.00 x 12.9 cm