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伝説のダイヤモンド

ルイ・カルティエ・ダイヤモンド

この非の打ちどころのない107.07カラットのダイヤモンドは、1974年に発見された400カラットの原石からカットされたものです。

100カラットを超えるダイヤモンドは世界でも極めて貴重であり、このダイヤモンドはアメリカ宝石学会(GIA)から D フローレス(無色で不純物が皆無)という判定を得ています。

この上なく正確無比なカットは、まさにこの宝石の名称となっているルイ・カルティエのイメージに適うよう、情熱に満ち、数カ月に及び続けられた、妥協を許さぬ作業の証でした。

この卓越したダイヤモンドは、後年ルイ・カルティエの生誕100周年を祝ってニューヨークのカルティエサロンに展示されましたが、その当時で500万ドルもの保険がかけられました。

このイベントはマスコミの注目を集め、「赤ん坊の拳ほどもあるダイヤモンド」との感嘆を込めた報道がなされました。

パシャ・ダイヤモンド

1848年、エジプト総督イブラヒム・パシャは、由来不詳の宝石を購入します。約40カラットのダイヤモンドで、八角形がかった形状をしていました。

その後、その宝石の行方は不明となりましたが、後年になり、アメリカのスーパーマーケットチェーン、ウールワースの相続人であったバーバラ・ハットンの所有物として再び姿を現します。

しかし彼女はこのダイヤモンドの形が気に入らず、カルティエにカットの直しを依頼します。そうして38.19カラットに削られたダイヤモンドは、リングにセッティングされました。 このリングは、バーバラ・ハットンと共にパームビーチからモンテカルロ、インドからモロッコへと、あらゆる旅路を共にしました。

1980年代、この「パシャ」ダイヤモンドはニューヨークのとある宝石商が購入し、再びカットし直されました。

ウィリアムソン・ダイヤモンド

1947年10月、ケベック出身の地質学者ジョン・T・ウィリアムソンが採掘権を持つタンザニアの鉱山で、ひとりの子供が、その地に生えていたバオバブの木の根元で54.50カラットのピンク ダイヤモンドを発見しました。

英国王室の熱烈な崇拝者であったウィリアムソンは、1947年11月20日のエリザベス王女の結婚式を祝して、この原石を王女に贈りました。

石の研磨には数カ月を要し、その結果23.60カラットの完璧なブリリアントカット ダイヤモンドとして生まれ変わったのです。1953年、エリザベス女王は自身の戴冠式のために、このダイヤモンドを中央に配したフラワーモチーフのブローチの制作をカルティエに依頼しました。茎はバゲットカット ダイヤモンド、2枚の葉はマーキスカット ダイヤモンド、花弁はブリリアントカット ダイヤモンドで構成されるこのジュエリーは、エーデルワイスの花をモチーフにしています。

このブローチは、1959年にロンドンで開催された『エイジレス・ダイヤモンド』展で披露されましたが、その後もエリザベス女王は幾度かの公式訪問の場で身に着けていらっしゃいます。1981年のプリンス・オブ・ウェールズの結婚式典にでに、女王はこのブローチを着用されました。